NEON

015

015 Key Visual

Se.

僕は父さんのつてで、映画館のバイトをはじめた。

人手が足りないというので、イーライも一緒に働くことになった。

チケットのもぎりや案内係、清掃やポップコーンの補充。

イーライは映像の知識もあるから、映像室の補助なんかも任された。

夜の11時にバイトが終わって、「今日は28ドル」「僕32ドル」なんて、その日の稼ぎを言い合った。

コーディとアレックスもそれぞれ、今やってるバイトの時間を少しだけ延長した。

休みに入って、僕らはアレックスの家のガレージに集まった。

「よし、軍資金の確認な」

コーディが立ち上がって、ジーンズのポケットに手を突っ込む。

「俺620ドル。あとこれ、店長から」

コーディがテーブルの上に、現金とステッカーを置いた。

「ステッカー?」

「店のな。宣伝しろってことだろ」

もうちょっとカッコイイやつがいいけどな。

「541ドル」

イーライがテーブルの上に缶を置く。

「フィルム代でちょっと消えた」

それは仕方ない。

「僕582ドル」

父さんと母さんが100ドル足してくれた。

「わたし587ドル」

あれ、アレックス……いつもプラプラしてるのに、いつの間に。

「旅費稼いでるって話したら、けっこうチップはずんでくれた」

僕に向かって言ってる?

「僕何も言ってないよ」

「なんで?って顔してたから」

「全部でいくらだよ」

コーディが僕とアレックスの間に割り込んで、誰かに聞いてる。

「2330ドル?」

イーライが答えてくれた。

「意外とあるじゃん」

コーディがテーブルの上のお金を集める。

「これで夏を遊び倒そう」

イーライが缶を開けて、コーディがその中にお金を入れる。

「じゃ、金の管理はイーライな」

「えー、やだ」

「この二人に任せられっかよ」

コーディが僕とアレックスを見る。

「確かに」

「イーライも納得しないでよ」

「いや、セスには任せられない。3日でなくなるよ」

「……財布からお金を出すくらい、僕にもできるよ」

「いや、失くすー」

アレックスが笑いながら僕を指さす。

「失くすのはお前だよ」

コーディがアレックスに突っ込む。

「そうだっけ」

アレックスは笑ってそっぽを向く。

「で、いつ行く?」

イーライが前のめりで聞いてくる。

「今から!」

「もう昼前だよ」

アレックスが子供みたいに答えるけど、本気?

「お金あるうちに行こうよー、スカイダイビング!」

「えーーー」

何で一生懸命働いて稼いだお金で、空から飛ばなきゃいけないんだよ。

「今から行くならどこ?」

イーライ、もう話進めてるし……。

「ペリスとか、エルシノアあたりがいいんじゃね?」

「なんでコーディ詳しいんだよ」

「親父がよく行ってた」

「電話してみるよ」

「え、ほんとに行くの?まだ僕行くって言ってないよ」

イーライとコーディはぐいぐい話を進める。

アレックスは目をキラキラさせてるし。

コーディが僕の肩をガシッと掴む。

「……男だろ」

真顔でそう言うとガレージを出ていく。

外からはコーディのラムバンのエンジン音がしてきた。

「予約取れたよ。3時からだから全然余裕」

「じゃ、出発すんぞ」

「イェーイ!」

アレックスとイーライのテンションが高い。

「僕まだ行くって言ってないよ!」

「男だろ!」

コーディもいつもよりテンション高い。

イーライのビデオカメラももう回っている。

仕方なく立ち上がって車に乗り込む。

飛ぶか飛ばないかは、現地で考えればいい。

きっとイーライあたりも、現地に行ったら「やっぱり無理」って言い出すよね。

いつもだったら4人で過ごす車内って最高なんだけど、今日はテンション上がらない。

いや、怖いでしょ普通。

Today’s Music

Sparky's Dream - Teenage Fanclub

Story Date

June 1997

Location

San Diego

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