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Se.
アレクシスに誘われて、ジェフ・ナッシュの家のガレージへ行った。
うちから丘を20分ほど歩いたところ。
大通りから一本入って、住宅地を抜けた先にある。
家の裏は谷になっていて、住宅地からは少し離れてる。
住宅地と自然の間って感じかな。
全然ロックスターみたいな家じゃない。
普通よりもちょっと大きな家くらい。
でも、ガレージがすごい!
「何ここ!ホントにガレージ?音楽室!?」
壁に何本も掛けられたギターやベース。
アンプや機材が無造作に置かれてて、奥にはピカピカのドラム。
「TAMAのドラム!」
「ドラム好きなの?好きに使っていいよ。わたしもいつも使ってる」
これがジェフ・ナッシュのガレージか。
「アレクシスもドラムやるの?」
「ちょっとだけね。私はギターのほうが好き。どこでも持っていけるし。
セスはドラムやるの?」
「買ってもらったんだ、誕生日に」
お言葉に甘えて座ってみる、TAMA Artstar II。
スティックをもって、キックを踏む。
ドン。
「おぉ……」
もう一回。
ドン
ボォン
ドォン
僕のYamahaより音が大きい、空気が動く。
タムを回してみる。
ドドドドドドン
たぶん、今、ニヤけてる。
アレクシスも笑ってる。
それから毎日のようにアレクシスのガレージに行った。
何度かジェフ・ナッシュにも会えたし、他にもすごいミュージシャンを見た。
ガレージに誰もいないときは僕がドラムを叩いて、アレクシスはギターを触った。
他の楽器も触ってみたり、音楽を聴いたりもした。
家に帰ると、毎日父さんと母さんにアレクシスのことを話す。
「今日は二人で音を合わせてみたんだ」
「今度アレクシスをうちにも呼んであげたら?」
「それより、朝から一緒にサーフィンに行くのはどうだい?イギリス育ちならセスが教えてあげればいい」
「その後うちで朝食を食べればいいわ」
父さんと母さんも嬉しそうに話す。
それもそうか。
もうずっと友達らしい友達を家に呼んだことがない。
僕には友達がいない。
好きなことがやれてればそれでいい。
ただ、父さんや母さんに心配かけてるのはわかってた。