NEON

013

013 Key Visual

Al.

家に帰ると、ガレージが開いていた。

音も聴こえてくる。

なんだ、こっちに来てたのか。

父さんのギターの音も聴こえる。

玄関から家に入って、ひとまず髪を乾かしてくる。

ガレージに行くと、父さんはもういなくなってる。

「おー、おかえりアレックス」

イーライが先に気づいて声をかける。

セスとコーディもこっちを見る。

「帰ってるなら教えてくれればいいのに」

「昨日帰って来たんだよ」

セスはたまに無理難題を言ってくる。

「で、なんでみんなここにいるの?」

「暇だから」

コーディがベースを触りながらそう言う。

「暇なら海来てよー。ひとりだったじゃん」

「今朝寒かったし」

「またナンパされた?」

イーライは私が1人でどこかに行くと、必ずこれを聞いてくる。

「されてないよ」

……いや、あれはナンパだったのか?

ジャクソンのことを思い出した。

「アレックス帰って来たし、どこか行こうよ」

セスがドラムスティックをデニムの後ろポケットに差し込んだ。

「見た?コーディの車」

イーライが興奮気味で聞いてきた。

「コーディ車買ったの?」

コーディはニヤっと笑っただけで、イーライが私の手を引いて外へ連れ出す。

さっきは玄関から中に入ったから気づかなかった。

ガレージ前に、バスかと思うくらい大きな白い車が停まってる。

「何これ!でかっ」

「驚くのはここじゃないって!」

イーライが運転席のドアを開ける。

「赤っ!」

内装が真っ赤、シートもダッシュボードもハンドルも全部赤!

「ダッジのラムバンだよ。後ろ見ろよ」

コーディが後ろのドアを開けてくれる。

「後ろも赤っ!広ーい!」

「自転車もボードも積めるぜ」

「さっきからなんで赤いところは無視なの?なんで真っ赤なの」

「こういう中古車だったんだよ。色はそのうち慣れる」

「こんなでかいの運転できるの?」

「俺を誰だと思ってる……」

「コーディ」

後ろにはもうBMX2台とサーフボード2枚、スケートデッキが3枚積んである。

イーライが助手席に乗り込み、セスが後ろに乗る。

私も後部座席の一番前、セスの隣に座る。

「で、どこ行く?」

「とりあえずタコスな」

そう言ってコーディが車を出す。

「なんでこんな長い車をバックで出せるのよ」

「バックで出さなきゃ出せねーだろ」

コーディは上手に切り返して車を出した。

いつものメキシコ料理店でタコスを買って、トーリーパインズの崖の上で食べる。

「次何する?」

唐突にイーライが聞いてきた。

「何?ライブの話」

「タトゥー入れようぜ」

……タトゥーね。いいかも。

「入れる!」

真っ先に手をあげる。

「入れてもいいよ」

イーライも手をあげた。

3人でセスの顔を見る。

「え、絶対?」

「絶対じゃないよ。タトゥーって一生ものだし。よく考えたほうがいいよ」

よく考えてないわたしが言うのもおかしいけど。

「なんだよ、ヘタレだな」

そう言ってコーディがタコスを口に押し込んだ。

「ちょっと考えさせてよ」

セスはそう言いながらも、結局いつもみんなと一緒を選ぶ。

1週間後、4人でタトゥーを入れた。

コーディは左の腕にメタリカのscary guyを入れた。

セスは左手首に細い線のリングを入れた。

「なんだそれ?」

「どれもなんかパッとしなかったから、ただの4本の線。僕の手書きだよ」

イーライは右の足首に小さな文字を入れた。

英語じゃない、フランス語?イタリア語?

意味も教えてくれない。

私は左耳の後ろに紫色のクラゲを入れた。

あえて、見えるところ。

クラゲにしたのは、なんか可愛かったから。

これでもう、母さんも「舞台に立ちなさい」なんてことは言えなくなるでしょ。

痛いけど、この痛みは嫌いじゃないかも。

Today’s Music

Sink to the Bottom - Fountains of Wayne

Story Date

January 1997

Location

San Diego

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